みなさんはじめまして。シマゲンと申します。
本日は生化学における内容をまとめます。第二回目です。
1)TAG分解
1分子のグリセロールと3分子の脂肪酸を生じる。
リパーゼは1種類ではなく、働く場所や基質特異性が異なるさまざまな種類が存在している。
ex.)
膵リパーゼ:食事で摂取したトリアシルグリセロールの1位と3位を加水分解して、2-モノアシルグリセロールと2分子の脂肪酸を与える。
ホルモン感受性リパーゼ:アドレナリンやグルカゴンといった空腹時に分泌されるホルモンによって活性化されて、脂肪の分解を誘導する。
得られたグリセロールは2段階の反応でジヒドロキシアセトンリン酸に変換される。これは解糖系の中間体であり、グリセルアルデヒド3-リン酸から糖代謝の経路に入る。
2)TAG合成
脂肪酸を貯蔵するためには、脂肪酸をトリアシルグリセロールに変換する必要がある。
アシルトランスフェラーゼはアシルCoAに対する特異性が低く、さまざまな伸長や不飽和度を持ったトリアシルグリセロールが合成される。
3)脂肪酸分解
脂肪酸の分解はミトコンドリアのマトリックス内で起こる。脂肪酸は、活性化型であるアシルCoAの形で分解を受ける。
アシルCoAの炭化水素鎖は、β酸化という反応によってC2単位で分解される。
以上をまとめると、
n個の炭素を持つアシルCoAのカルボキシ末端側からC2単位が脱離して、n-2個の炭素をもつアシルCoAとアセチルCoAが生じる。そして、その過程でFADH₂とNADHが1つずつつくられる。偶数個の炭素を持ち、二重結合を持たない飽和脂肪酸は完全に分解される。
一方、奇数鎖脂肪酸や、炭素鎖に二重結合を含む不飽和脂肪酸は、上述したβ酸化のサイクルでは完全に分解されない。最後のステップでアセチルCoAとプロピオニルCoA(C3単位)が生じる。
このようなことが起こるのは炭化水素鎖に含まれる二重結合によってβ酸化の進行が妨げられるからである。
ここで一つ問題です。
代表的な脂肪酸のパルミチン酸が分解される際のエネルギー収支を考えよう。
16個の炭素をもつ飽和脂肪酸であるパルミチン酸は、活性型のパルミトイルCoAに変換された後、7回のβ酸化によって完全にアセチルCoAへと分解される。β酸化1回につきFADH₂とNADHが1分子ずつつくられる。全体で、
パルミトイルCoA→アセチルCoA×8
FADH₂とNADH×7
アセチルCoA1分子がクエン酸サイクルに入るとFADH₂1分子、NADH3分子、GTP1分子が生じる。したがって、パルミトイルCoA1分子が二酸化炭素16分子にまで完全酸化されると、FADH₂15分子(7+8×1)、NADH31分子(7+8×3)、GTP8分子が得られる計算となる。さらに、
・FADH₂1分子の酸化に伴ってATP約2分子が合成される
・NADH1分子の酸化に伴ってATP約3分子が合成される
・GTPはエネルギーのロスなくATPに変換される
という関係からATPの合成量は、1分子のパルミトイルCoAから約131分子(=15×2+31×3+8)のATPがつくられる計算となる。
グルコース1分子から約38分子のATPが産生されるのと比べると、脂肪酸には多くのエネルギーが蓄えられていることがわかる。
4)脂肪酸合成
脂肪酸合成は細胞質で起こる。
第一段階はアセチルCoAからマロニルCoAの生成。
脂肪酸合成の出発分子であるアセチルCoAをミトコンドリアから、脂肪酸合成の場である細胞質まで輸送したいが、アセチルCoA自体はミトコンドリアの膜糸を通過できない。
細胞質のアセチルCoAはアセチルCoAカルボキシラーゼがATP依存的に触媒する反応によって不可逆的にマロニルCoAを合成する。
[1]アセチルCoAのアセチル基が脂肪酸合成酵素のACPドメインに転移する。
[2]ACPドメインのアセチル基が酵素中の別のシステイン残基に転移する。
[3]マロニルCoAのマロニル基がACPドメインに転移する。
第二段階はアセチルシンターゼとマロニルACPからパルミチン酸の生成。
[4]アセチル基とマロニル基が縮合する。その際、マロニル基のカルボキシ基が脱炭酸され、CO₂が遊離する。(※上図で脱炭酸の矢印ずれているのは失礼)
これによって脂肪酸伸長が促進される。
[5][6][7]アセトアセチル基中のカルボニル基(R-CO-R')が3段階の還元、脱水、還元の反応を受ける。
この過程で2分子のNADPHが消費される。
1サイクルごとに2個炭素が伸長する。
パルミチン酸を合成するのにアセチルCoAにマロニルCoAが7回縮合する必要があるので、合計14分子のNADPHが消費される。
また、そもそもマロニルCoAの合成にはアセチルCoA1分子とATP1分子が必要である。
よってパルミチン酸の合成にはNADPH14分子とアセチルCoA8分子、そしてATP7分子が必要となる。
<参考文献>
基礎からしっかり学ぶ生化学,成田著,羊水社,2014,pp136-145
ここまでで以上となります。それでは失礼します。