2023年 Shimagen文学賞

みなさんはじめまして。シマゲンと申します。

(2023年に投稿したかったのですが、サボってできませんでした。ちと反省)

2023年はとても小説を読みました。
なので今回の記事は過去一で膨大です。

もっと丁寧に感想を書きたかったです。そして紹介分もいい加減ですが、それでも読みたい人は以下どうぞ。

 

シャイロックの子供たち 7点

今年映画化された作品。そして私の好きな池井戸潤作品
銀行を舞台にした100万円紛失事件の真相を巡る作品。
フツーに面白かった。

章ごとに主人公の視点が変わっていく構成がうまい。

②AIに負けない子どもを育てる 8点

点数は低いですが、ビジネス書というジャンルの中では間違いなくまた読みたいと思える作品。

昨年の記事でも紹介しましたが「AI vs 教科書が読めない子どもたち」の続編です。
今回は実戦形式の問題が多く書かれており、自分の読解力のなさを痛感しました。
そして、今の子供たちに不足している読解力とは何なのかを深く知ることができた。

池袋ウエストゲートパーク 3点

読んだのは2月くらいであまり内容を覚えていないが、何かなじめなかった。
作者の石田衣良さんのラジオをよく聞くので試しに読んだのがきっかけ。
長編シリーズのため再度読み直す機会があればって感じ。

 

④汝、星のごとく 10点

直木賞候補に挙がっておりそれきっかけで読んだ。
この作品は2022年の本屋大賞を受賞し、それだけの価値ある名作だった。

瀬戸内の地域を舞台とし、暁美と櫂の大恋愛。
なかでも北原先生という人物に惚れた。

「良い教師と良い大人はイコールではなく、良い大人と正しい大人もイコールでは結べない。」

登場人物たちの心情の描かれ方が美しく、あっという間に読み終えてしまった。

田舎という世界での唐突な理不尽に振り回され、そのせいで夢を諦めるというのはとてもつらい。チャンスはみな平等ではないのかと考えさせられた。

 

⑤マチネの終わりに 7.5点

なかなかによかった。
平野啓一郎という作者の凄さを知らされた。
「恋の効能は、人を謙虚にさせることだった。年齢とともに人が恋愛から遠ざかってしまうのが、愛したいという情熱の枯渇より、愛されるために自分に何が欠けているのかという、十代の頃ならば誰もが知っているあの澄んだ自意識の煩悶を鈍化させてしまうからである。」

「あの人に値する存在でありたいと願わないとするなら、恋とは一体、何なんだろうか?」

蒔野と洋子の恋愛関係というのが美しく描かれ、お互いの思いというものに言い表せない感情をもって読ませてもらった。

 

⑥しろがねの葉 6点

直木賞受賞作。期待度が高かった分、何か物足り差を感じた。

銀を掘る男たちの中で一人の女ウメの生きざまがたくましい。

生きることの大変さ、心の機微を描く描写が美しかった。

 

⑦地図と拳 7点

こちらも直木賞受賞作品。圧倒的にボリュームです。この作品をきっかけに小川哲さんの作品をもっと読みたいと感じた。

日露戦争から第二次世界大戦までの満州の都市で繰り広げられる争いを描く歴史小説

後半は建築を軸に戦争が書かれ、過去に学ぶことが多く感じた。

登場人物が多く、色んな視点に切り替わるところでちょっと読むのに苦戦した。

 

プロトコル・オブ・ヒューマニティ 8点

小説家の逢坂冬馬さんのツイッターにて紹介。

義足のダンサーが主人公の話で、特にこの作品は父の認知症をリアルに描かれていた。

認知障害を患って「人間性プロトコルがゆがんだ」としても父との関係性に変わりはないという。
度重なる不幸の中にも出会いがあり、幸せが存在する。

非常に考えさせられた。

 

⑨成瀬は天下を取りに行く 10点

小説家の逢坂冬馬さんのツイッターにて紹介。
これはもうねすごい!一気に成瀬のファンになった。

4月くらいにブログでも紹介しましたが、本当に面白かった。
なんといっても膳所カラというコンビでM1に出た話は本当に笑った。

来年1月には続編が出されるため、そちらも大いに期待したい。

 

⑩ラブ・ケミストリー 6.5点

私の所属する大学の卒業生が書いた。そして岐阜出身。
科学系の研究室での話が事細かに書かれており、自分がまさに日々やっている実験の器具名や反応名とか出てて面白かった。

有機化学の天才が一目ぼれのせいでその才能を見失ってしまう。それを解決するにはその一目ぼれ相手を彼女にしないといけないという物語。

オチが少し残念だった。


⑪また、同じ夢を見ていた 10点

僕の大好きな住野よるさんの第二作目。
以前もブログで紹介しましたが、これは本当に良かった。

人生とは何なのかを小学生の菜ノ花ちゃんが知る。
南さん、お祖母ちゃん、アバズレさんの3人にとっての人生がどれも切なく、美しい。

特に自分は南さんにとっての人生。。。

「人生とは、自分で書いた物語だ。」

「推敲と添削、自分次第でハッピーエンドに書き換えられる。」

シマゲンにとっては人生とは何か今一度考えたい。

 

白夜行 8点

これは超大作だった。

主人公たちの幼少期におきた殺人事件を長々と書かれており、口説くなるどころかどんどん謎が深まっていく。

夢中になれました。

 

⑬敗北を抱きしめて 6点

凄くおもしろいテーマを扱っているのに、ページ数の膨大さに敗北。上巻のみ読了し、下巻は未読に終わった。

戦後の日本というものが他国から見てどれだけすごい成長力、復興力だったのかがアメリカの学者視点で解説されている。

「日本人は、誠実、発明の才、勤勉さ、倹約、勇敢さ、進取の気性、正直さなど、正確面で良き特徴を持ち合わせている。」

今の日本は敗戦があったからこそ生まれたものなのである。今一度過去の人々に敬意を!

 

⑭マイナス・ゼロ 6点

SF小説の起源と言ってもいいだろう。
タイムマシンに乗って、戦時中の日本に行ってしまうという話。

伏線が散らばっておりそれの回収がもう少し欲しかった。

天地明察 8点

「自分が進んだ分だけ、世の中の人間もまた進んでいる。いや自分が進む以上に進んでいるのだ。」

「己は試さねばならない。試されてこその研鑽だった。試されぬまま成果を挙げたなどは断じて口にしてはならない。己を納得させられない。」

この作品の主人公の渋川春海が算術を駆使して改暦に挑むという話で、ボリュームも多い作品ですが、とにかく登場人物たちの会話がどれもかっこいい。

未知のものへの探求心とそこに集う人々が互いの知をたたえ合う清々しさが読んでいてとても心地いい。

⑯船を編む 7点

辞書作りの話。膨大な年月をかけて幾重もの人の協力によって作り出される辞書。

その重みを知れた。
物語が淡々と進んでいくが、マジメ君とかぐやさんの恋愛要素も甘酸っぱくてよかった。

 

⑰よるのばけもの 7.5点

はい。住野よるさんの三作品目にあたります。
矢野という一見変わった女の子はクラスでいじめの対象になっており、主人公は夜だけばけものになるという設定。そのふたりは昼間は関わり合いを持たないが、夜だけは特別。

青春小説にあたり、教室にはいじめの当人や見て見ぬフリをする人間、元いじめの対象だった人間などが多くいる。

この作品で出てくる保健室の先生の立ち位置というか目立たないが重要な役割を持つ。その存在感が何か不思議だった。

 

⑱遠き落日 7.5点

黄熱病の研究で有名となり、今では千円札の顔となっている野口英世の生涯を描いた作品。

とにかく金遣いがひどく、謝金をしまくて生きてきた。しかし、研究者としては超すごい。その姿を面白く書かれていた。

野口の子供の頃の恩師である小林栄という人物のセリフでこんなものがある。

「口先や手紙では、うまいことをいうが、肝腎の性格がふしだらで、人に迷惑をかけて平気でいる。これではいくら偉くなったとしても、人間として尊敬されない。」

とにかく野口の幼少の貧しい時代から研究者として大成していく姿はなんともカッコイイ限りでした。

 

⑲英語落語で世界を笑わす! 6点

日本の古典芸能である落語の面白さを前半で語り、それを外国人に理解させるのがどれだけ難しいのか。単純な英訳ではなく、日本について知ってもらうことも大切である。

特に落語が始まる前の枕も工夫が必要である。

「落語は人間の本質を突いている話芸。落語から人生を知る。」

人間の面白さや悲しさ、ずるさやだらしなさを笑う芸能であり、単なる説教や法話と違い、聞き手と同じ目線と立場でさまざまなことを教えてくれる。それが落語だ!

⑳推し、燃ゆ 7点

作者は自分と同い年で芥川賞を取ったという。
若者向けに書かれており読みやすかった。

子供は大人に頼っていいのに、その大人が頼りにならない。今後の日本はそういう環境にはしたくはない。

特に作者のあとがきに書かれた文の響きがよかった。

「頼れる大人は一見厳しく、寡黙で、とっつきにくく見える。頼れない大人は自分を持ち上げてくれる生徒にだけ調子のいいことを言い、そうでない生徒を、言葉を持たない未成年であるのをいいことに気傷つける。口を閉じている存在を軽んじる先輩や大人にはどうか背を向けて、心の柔らかい部分をまもって生きてもらいたい」

これを書けるのは大したもんだなーって感じでしたw

車輪の下 6.5点

大学生になった今、ヘルマンヘッセ車輪の下を手に取る。
終わり方が少し納得いかなかったが、いろいろ感じるものが多かった。

大人たちによって期待を押し付けられ、自らの意志や希望を見失い、大成せずに不幸に陥る。現代でもふつうに怒っていることのように思う。

まわりの期待に応える自分と、実際はそんなことをしたいとは思っていないという自身の内心に反した行為が葛藤へと生まれ変わり、予想とは逆方向の道へと突き進んでしまった。矛盾がいきづらさをひき起こしたと言えるだろう。

 

㉒ルポ脱泡マルチ 8点

年1冊くらい親書は読まねば。石田衣良さんの大人の放課後ラジオで取り上げられており、興味がわき購入。

都心の喫茶店でよく見かけるマルチの勧誘。自分もそれに似た勧誘を受けたことがあり、共感できる部分が多かった。

マルチ行為を行う人間自身、不幸になり、勧誘をし続けることで他者にも不幸をまき散らす存在。
マルチ行為にはまった息子を悲しむ母親のコメントには涙しかけた。

 

 

㉓二重らせん 2点

途中で断念した。

こちらの作品はDNAの構造を発見したジェームズワトソンの自伝本です。あまりハマること描写がなかった。科学は特別な活動ではなく、日常であるということ。

青春の思い出として研究の経緯が書かれた本書ですが、ワクワクする場面や、登場人物や時代背景にピンとこなかったです。

 

㉔新入社員に贈る一冊 8点

図書館バイトの書棚整理中に見つけ、読んでみた。
面白い紹介本が何冊かあり、名作との出会いにつながった。
自分も来年新入社員になるため、こういう知識やスキルが必要なんだなと思った。

 

阪急電車 7.5点

偶然の出会いが自分と他者をつなぐ。その輪廻が重なり、多くの人間と些細な形がつなっがていく。そんな心温まる作品でした。

9月頃のエンタメを語ろうの会、第一回小説限定読書会にて紹介をいただいた。
面白かった!

㉖君の膵臓をたべたい漫画版 9.5点

絵がとてもかわいかった。
そもそも原作小説がもうすごくおもしろいため、漫画を読んで懐かしい!と感じた。

㉗コメンテーター 8点

こちらも第一回小説限定読書会にて紹介してもらった作品。
医者のおかしな診療が面白いし、それに振り回される客の描写もよき。
特にピアノ演奏者がロックバンドする回がよかった。

 

㉘空白を満たしなさい 8点

ブックバーひらづみの読書会にて知り合った方に紹介された作品。
主人公の徹夫は目が覚めたら3年後の世界だった。なんと自分は現在から丁度3年前に自殺をした復生者と伝えられる。
自分は自殺なんてする人間じゃない、きっと殺されたんだと疑うが、周りの人たちはそうではない。真相は何かを追求する物語。

当然復生したことで喜んでくれる人間もいるが、徹夫が死んでから3年間の空白は短いようでとても深いものがある。生きている人間は徹夫のいない生活に適応しだしたところで、突然現れたため動揺するものも、素直に喜べないものも多い。

この小説の下巻で登場する「分人主義」という考え方がとても面白く、考察のし甲斐があった。新たな知見を得られる一作品。

一人の人間には中心となる本当の自分というものは存在せず、対面する人によって表情や仕草、内的感情を使い分けることができる分人という個が存在しおり、その集合体が一人の人間を形成する。。。みたいな考え方です。

 

簡単に紹介している動画がこちら

www.youtube.com

 

 

㉙さよならドビュッシー 7.5点

主人公の女の子はピアニストになるという夢を持ち、日々練習に励んでいた。しかし、突然祖父と義妹が火事で亡くなってしまう。主人公も大火傷負い、手も足も充分に動かせない。

そんな中1人の講師からピアノを教わりとんでもない回復力を見せ、ピアノコンクールに挑む。謎解きあり、感動あり、そして何より最後のどんでん返しがとても面白かった。

音楽という与えられた武器を捨てず、主人公なりの闘い方というものが繊細に描かれていた。

㉚本が死ぬところ暴力が生まれる 2点

読書の重要性を説き、教養や情報を取得するために書物に親しめということが長々と書かれていた。
活字というメディアの重要性やその起源などを呼んでいるところらへんで眠くなり、終わり。

㉛ボーダー移民と難民 7点

労働力不足の日本。今では当たり前となっている外国人労働者たち。彼らはどんな思いで日本に来ているのか。

著者の佐々さんが実際に取材した経験から書かれた作品で、ビザ切れの外国人たちがとても苦しい思いをしているのが分かった。

特に技能実習生制度というものには色々考えさせられた。基本的人権や豊かな暮らしの保証などは全人類に与えられた権利なのだが、それが必ずしも日本のためになるのか。そういったことを考えていかないといけない。

難民条約に加入して40年。難民認定されたのは900人弱。この数字を見て多いと思うか、少ないと思うか。政治は果たして間違っているのか?

㉜この気持ちもいつか忘れる 7点

住野よる今年3冊目です。住野作品ではこれは7作目になります。6月くらいに文庫版が発売されましたが、ブックオフで初回限定盤が安く売られていて、ずっと気になっていたタイトルだったため購入。

事前情報からTHE BACKHORNとのコラボ作品ということを知っており、曲も聴いた状態で読んだ。感想としては何個か回収されていない伏線があったり、?って感じが残ったのが感想です。

主人公のカヤには共感できる部分はいくつかありましたが、高校生なんですが、自分とはかけ離れた考えがあり、なるほどなと思った場面も多かった。

チカとの特別な出会いから成長していくという流れですが、これはあくまでもフィクションなわけで読み手は主人公のような特別な経験をしてるわけでなく、客観的にみているだけなので、それについて完全に理解できないのです。
そういったことを悟られないようにこの作品は描かれている。そしてクラスメートの田中と斎藤について主人公から語られた場面で鳥肌が立ちました。

2部構成で前半は謎が多い部分があり、ワクワクしながら読め、後半は伏線の回収やチカとの別れから主人公が余生をどのように過ごすかを全くの無関係な第三者視点で読めるのが面白い。

そしてこの作品のタイトルがなんともシンプルで美しかった。

 

㉝君が手にするはずだった黄金について 7点

発売されて2週間くらいで読み終わった。

承認欲求を満たしたい男がとった究極の行動。それがたとえ嘘だとしても一時の幸せなり充足感を得る。周りと比較して自分を卑下することはきっと誰にでもある。そんな片桐を自分と照らし合わせながら読み進めて、イタい気持ちになった。

小説家が感じる嘘つき漫画家や占い師についても新しく見方が変わりました。

㉞ファンスーチーの初恋の楽園 5点

作者の実体験を元に書かれた台湾文学。

主人公の女の子は13歳のとき、同じマンションの国語教師に強姦される。歪んだ愛に狂わされていく過程が苦しかった。

大学の友人に勧められた作品。今はもう絶版になっており、近所の図書館で見つけた。

 

㉟傲慢と善良 8点

大人の恋愛話というものを事細かに書かれたとてもよくできた作品でした。
昨年からずっと紹介してもらってなかなか読むまでに勇気が持てなかったですが、読んでみて、自分の中の傲慢さを見つめ直すことができたと感じた、

前半後半で架君視点と真実視点の構成も面白く、ミステリー要素もあります。
中でも真実の母親の過保護すぎるところとかの気持ちが分かるけど、子供のためになっていない言動や行動が刺さりました。

本当なんだろうな~
自己評価低いのに自己愛が高いってのがすごく自分にあてはまりました。婚活ってこえ~。。。てか恋愛むずかしい~~~・・・・

クライマックスで架と真実が対峙するところもドキドキして読めました。
まあ婚活に限らず、新しい人に出会ったときにどういう目で見るかという視点など今後考えていきたくなった。

 

㊱神様からひと言 10点

これはとてもとても面白かった!

珠川食品に務めるサラリーマンの佐倉が主人公で、ある会社の会議でトラブルを起こし、クレーム処理専門の部署へ異動する。

この作品の魅力はリアルさが描かれており、クレーム処理の仕事内容とその部署の仲間たち。個性的な仲間たちのなかでも篠崎という大ベテランの男が見てて本当に面白かった。

主人公の成長する姿や会社の不正をユーモアに描かれたこの作品。元気が貰えます。

珠川食品という会社はとにかくダメダメで、社員1人で改善なんてできやしない。そんな劣悪な環境下で奮闘する登場人物たち。

5,000円貰えるキャンペーンで文句をいいに来たヤクザ集団とのたたかい。ラーメン屋とのコラボ商品作りでの頑固店主とのたたかい。そして最後の副社長とその忠犬たちとの一斉一同のたたかい。

これはかなり面白い!自分の中での名作トップ10に入れてもいい。

 

㊲変な絵 8.5点

ミステリーとホラーを混ぜた感じの作品。とても読みやすかった。そして鳥肌がえぐかった!

塾の教え子から紹介してもらった本で、中学生や読書慣れしてない人でも楽しめる。

ブログの紹介から、謎が始まり様々な登場人物視点で絵をテーマにして事件が発生する。

読み始めはバラバラの物語と思ったが、気づいたら点と点が繋がり、多くの事件の犯人が浮かび上がってくる。構想がとても丁寧で感激した。

ネタバレなし、読み始める前に絵を見ないでほしい。

前作の変な家と繋がりもあるっぽい?映画やるので観てみたいと思った。

㊳文学キョーダイ 7点

初めて読む対談本。私の好きな逢坂冬馬さんが書かれており購入。
小説家からみた高等学校、大学の教育の矛盾している点を話し合っているところとか面白かった。

「たくさん小説を読んでなんになるの?」と聞かれたそうです。それに対して二つの考えがある。

・必ず世界が拡張するするか
知る前の自分と読んだ後の自分というのは、確実にちょっとだけ変わっている。

・なんでなにかのためじゃなきゃいけないのか

好きなことを楽しむってことに存在意義を認めない

逢坂さんの話は何か深く考えさせられて好きです。

㊴歌われなかった海賊へ 8点

逢坂さんの二作目となるこちら。
発売当日購入し、一週間ほどで読了。

戦時中の人間模様がリアルに描かれててすごい。
ナチスドイツでの独自の反戦運動をしたエーデルヴァイス海賊団の中にもそれぞれ戦う意味が異なっており、究極の悪に立ち向かっていく後半は夢中になってしまう。

主人公のアランベルガーはおそらく作者が伝えたいことを代弁してるんだろうな。

戦争はよくないぞ!!

㊵君が手にするはずだった黄金について 8点

小川哲さんの新作。こちらはSFとは違い短編。
「他人の人生にあまり口出しをしたくないという気持ちを常に持っている。自分の人生は他人に口出しされたくないという気持ちの裏返しなのだけど、その性格のせいで他人から相談されることがほとんどなかった」

これは自分に当てはまってるなーと感じた。

主人公の小川の周りに登場する痛々しい面々が読んでてどこかむずがゆかった。
しかし、必死に生きている。それは認めねばならない。

㊶i(アイ) 8点

この世にアイは存在しません。

このフレーズが何度も繰り返され、主人公のアイちゃんは幾度もつらい思いをする。
紛争地域の要旨としてアメリカ人父と日本人母に育てられるが、なぜ自分はこんなに幸せなのか、幸せでいちゃいけないと自己嫌悪に迫られる。

考えさせる場面が多かった。
自分は世界のことを知らなすぎるし、もっと知らなければならない。
まずは自分の身近にいる人たちにおもいを寄せよう。それがやがて大きな愛になる。

㊷天地に燦たり 4点

熱源の作者川越宗一さんの作品でずっと気になっていたが、あまりなじめなかった。
途中で断念。
身分は最底辺だが儒学を学び、それを広めたいと奮起する人物の生きざまは何かよかった。島津兵の話とかとの繋がりがもう少し早くきたら読めたかも。

 

㊸星を編む 9点

汝、星のごとくのなんと続編スピンオフ。
北原先生の話がとても泣けた。家族からのちょっとした縛り。高校教師という職業。
飛びたかったのに飛べなかった大学時代。
いろんな経験と出会いからこんな素敵な大人になったのかと、キャラの魅力がすごい。

植木さんと二階堂さんの話も好きで、夫に離婚を迫られたときの話とかの表現がリアルですごい。

色んな登場人物の戦いみたいなのが再び読めて楽しかった。

 

赤毛のサウスポー 9.5点

小説紹介本に書かれており、ずっと気になっていたが、なかなか見つからなかった。
地域の図書館から取り寄せてもらった。
この作品の作者はスポーツライターでリアル野球の臨場感みたいなのが丁寧に書かれていた。
女の子がメジャーリーグで投手として戦うという話。
有名なスラッガーたちも女ということでなめてかかるが三振で敗北する。

しかし、女性という面をもつだけで多くの悩みを持つし、選手として認めてもらえないなどがとてもリアルで考えさせられた。

とにかく最初から最後までワクワクしながら読めた。魔作であった。

TUGUMI 8点

 

よしもとばななさんの作品を読むのはこれがはじめて。
高校受験の国語とかでよく名前を聞きましたが、国語の授業の題材で扱うといいなって思う登場人物の気持ちを読み取るとか、描写が優しくと綺麗だった。

青春ってこんな感じだ!

つぐみのまっすぐな性格が魅力的でした。

 

 

 

さて、これですべての紹介が終わりました。本当はまだ漫画の紹介が済んでいませんが、来年にでも時間があれば書きたいと思います。
総評して、今年のトップファイブをランキング付けして締めようと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

1位 また同じ夢を見ていた

2位 成瀬は天下を取りに行く

3位 神様からひと言

4位 汝、星のごとく

5位 赤毛のサウスポー

 

2023年度もありがとうございました。お疲れ様です。

みなさんよいお年を!